大活躍するレーザー高度計(LIDAR)
2019年11月13日に「はやぶさ2」探査機は小惑星リュウグウから離脱するためのエンジン噴射を行いました.レーザー高度計(LIDAR)は探査機が高度20 kmから徐々に遠ざかって行く様子をとらえていました。
レーザー高度計(LIDAR)は、はやぶさ2からレーザー光を発射し,反射光をレーザー高度計にとらえて、つまり、リュウグウから返ってくる光をとらえて、距離測定を行っているとの事です。
距離測定、そして リュウグウの地形把握
小惑星リュウグウは予想以上にまっ黒な天体で,中々反射光をとらえることができなかったようです。レーザー高度計を調整して,距離データが得られたときは,レーザー高度計の開発に携わった関係者一同,大感慨されたようです。
この距離観測データが獲得できるようになり,まず、リュウグウの粗い全球地形を獲得することができ、その後、レーザー高度計はリュウグウの地形データをしっかりと獲得したとの事です。
LIDARの性能
はやぶさ2のリュウグウ離脱後もレーザー高度計は距離測定を続け,最後は32.589 kmの距離を測ることができました.この32.589 kmの距離では100回のレーザー光照射に対して,やっと1回の反射光をとらえることができたくらい難しい測定との事です。
レーザー高度計は打ち上げ後の初期チェックアウトも含めて,合計707万発のレーザー光を照射し、その最後に最長距離の測定ができました.すごいですね!
次のミッション
「はやぶさ2」は、現在、地球にサンプルを送り返す帰還の旅ですが、すでに、次のミッション、はやぶさ2の残存燃料を使って新しい探査地点に向かう計画が現在検討されています.実は、32.589 kmの距離を測定した実積は、新しいミッションで,どれくらい遠くからレーザー高度計が使えるようになるか,という重要な情報なんです.
レーザー高度計は2019年11月18日23時37分(世界標準時)に電源オフされましたが、次のミッションに備えた待機中で、大活躍が期待できます。
皆さん、まだまだ終わらない「はやぶさ2」の冒険を見守りましょう!
(この記事は、JAXA レーザー高度計科学チーム主任 並木則行様の文章を編集させていただきました。)
「はやぶさ2」が11月13日以降にリュウグウから遠ざかる様子.
縦軸はリュウグウからの距離,横軸は時刻.
合計4回の走査観測で得られたリュウグウの全体像
(Credit: 国立天文台, JAXA, 千葉工大, 会津大, 日本大, 大阪大)
「はやぶさ2」がんばれ!